人形
罪、そして、気持ち。
☆☆☆
「・・・お久しぶりですね、由真」
涼馬くんは、そっと微笑む。
完全な作り笑顔で。
鈍感と呼ばれ続ける私でもわかる。
「久しぶりって言うほど、別れてないけどね」
「ごもっともな意見でございます」
「ところで、涼馬くん。
あなた、どこに立っているのよ」
涼馬くんが立つのは、屋上に設置されている、柵の向こう側。
つまり、少しでも足を踏み外せば、まっさかさま。
って、おい!
「こっち来なさいよ」
よく見ると、涼馬くんは奇妙に微笑みながら、震えていた。
緑さん、ナイス情報。
「緑さんに聞いたわよ?
あなた、高所恐怖症らしいじゃない。
そんな所に立って良いのかしら?」