人形




 着いたのか、おばさんは僕の目隠しを外した。


「良い?何を言われても黙っておくのよ。
あなたには、もっと素晴らしい結末を用意しているんだから。
楽しんでもらわなくちゃ」


 ふふっと、おばさんの気味悪い笑い声がする。



 歩いている途中で、僕は1人の少女に出会った。


 無邪気に微笑む、汚れを知らない子。


 この子は、僕をどう思うのだろう・・・。



 おばさんと少女の話を聞いていると、おばさんの正体が、僕の本当の叔母さんだと気が付いた。


 確か、母さんの妹で、名を結衣子(ゆいこ)といったか。



「結衣子叔母さんなの?」


 屋上へ続くエレベーターの中、僕は聞いた。


「そぅよ、涼馬くん?」


 僕はひどく驚いた。


 僕の知る結衣子叔母さんは、もっと優しくて、温かい笑顔を絶やさなかった人だ。


 それなのに・・・今は立派な犯罪者だ。



 屋上へ着くと、叔母さんは僕を柱にロープでくくりつけた。



「ここで良く見ていると良いわ。
あなたに相応しい罰を用意しているから」



「罰って何?
僕は、どうして罰を受けるの?」



「もうすぐわかるわ。
まぁその時には、私のシナリオ通りいけば、最高のハッピーエンドが待っているわ」




 叔母さんは心の底から楽しげに笑った。


 狂った笑いが、雪の降る灰色の空に響いた・・・。






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