人形
「だからアタシはこうするの」
叔母さんは僕に近づき、僕を縛っていたロープをほどき、首に絞めた。
「・・・うっ・・・・・」
「涼馬!」
「結衣子!
お願い、涼馬を離して!!」
「もしかしてぇ、涼馬くんが死ぬの、見たくない?
じゃあ、お義兄さんとお姉ちゃん、先に死んでよぉ」
再び、狂った声で笑いだす叔母さん。
「・・・わかった、わたし、死ぬわ」
「結衣!?」
「ごめんね涼太さん。
妹を・・・結衣子をここまで狂わせたのはわたし。
わたしが結衣子より幸せにならなければ、ここまで悩むこともなかったのよ」
「・・・じゃあ、結衣、僕も死ぬよ」
「涼太さん・・・」
「結衣子さんは僕も恨んでいる。
あのままだと、涼馬も死んでしまう。
涼馬を守るために、僕も一緒に死のう」
「涼太さん・・・ありがとう。
聞いていたわね、結衣子。
わたしと涼太さんは、ここから飛び降りて死ぬわ。
だから、涼馬だけは助けてね?」
そう言うと、母さんと父さんは、僕の頭をなでて、柵を乗り越えた。