人形




 隆也様が、僕にくれたものは、沢山あった。


 まず、家。


 小さなマンションの最上階を与えてくれた。


 そして、お金。


 中学の学費は、全て払ってくれた。


 それだけじゃない。


 隆也様は、僕にアメリカの大学へ進学するための、お金まで払ってくれた。


 僕は、教室でいつも本を読んでいた。


 そのためか、何故か僕は特に勉強もしていなかったけど、学校で1番の成績を保持していた。


 校長自ら、僕の頭の良さを無駄にしてはならないと言ってくれた。


 それを聞いた隆也様は、僕にアメリカの大学へ行くよう薦めた。


 


 僕は大学に入学したが、一向に人と馴染まなかった。


 しかし、大学で1位2位の成績を誇った僕に、似合う仕事を隆也様は探してくれた。


 それが、執事だった。


 執事と言うのは、完璧の塊のような仕事。





 ある日、隆也様は僕に由真の執事を薦めた。


 由真の執事が家庭の事情でやめたため、やってほしいと頼まれたのだ。





 隆也様には、感謝してもしきれない。




 でも、僕は今だに泉を恨んでいる・・・。









 
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