人形
「涼馬くん、私のこと、どう思う?」
「由真のことですか?
おかしなことをお聞きになられるのですね。
先ほど申しましたのに。
でも、もう1度言いましょうか?」
「お願いね」
「わたくしは由真のこと、とても恨んでおります。
許されるものなら、今すぐこの場であなたを堕としたいですね」
さすがに面と向かって言われるのはきついわー・・・。
「ふふ、良いですね、その顔」
「そう?どんな顔しているのかしら?」
「言われるのはきついって顔ですね」
「あ、ばれてた?
丁度心の中で思っていたの」
「図星ですか」
って、なんなのこのやりとり。
「涼馬くんが私を嫌うのはわかったわ。
まぁ、涼馬くんの言うことは正しいもの。
私が涼馬くんの立場だったら、同じように恨んでいたかもしれないわ。
でも、私は涼馬くんが死ぬことは許さない。
例え涼馬くんが私を刺したとしても、私は最期まで涼馬くんを死なせないようするわ」
「・・・どうしてですか?」
「復讐をしたいと言う人は涼馬くん以外にもいるかもしれない。
でも、復讐は復讐しか呼ばない。
終わらない迷路の中に閉じ込められるだけ。
だから私は復讐しない。
涼馬くんを恨もうと思わない。
私が恨むとしたら、私自身よ。
涼馬くんを止められなかった、私自身を恨むわ」