人形

会えないなんて、嫌だよ









グサッ・・・






 日の暮れてきた夕方のオレンジ色の空に、似合わない鈍い音。



「・・・え?」



 目の前で倒れているのは、涼馬くん。


 は?え?ほ?



 何があったの・・・?








「どうしてだ由真・・・。
どうしてお前はソイツといるんだ。
どうしてだ・・・由真・・・。

ドウシテ、オ前ハ、ソイツトイルンダ!!」



「え!?
な・・・何でここにいるの!?


しかも、その手に持っているのは何っ!!??」




 目の前で「由真・・・由真・・・」と呟くのは、あの人。


 その手に持っているのは、





 血の付いた、包丁。






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