人形
「変なこと聞いても良いかしら?」
「なんでございましょう」
「その中身、何?」
「わたくしの私物です。
前に住んでいた家から運ばれたものです。
大したものは入っておりませんが、ご覧になられますか?」
「え?良いの?」
普通ここは遠慮するのが令嬢かもしれないけど。
気になるから・・・ね。
「どうぞ」
「ありがと。じゃ、失礼するわね」
私は段ボールの蓋を閉めるガムテープを外し、中身を開いた。
中には、本当に私物ばかりだ。
洋服とか、目覚まし時計らしい置時計とか。
本当に大したものは入っていない。
・・・おや?
「これ・・・」
私が段ボールから取り出したのは、1枚の写真だ。
仲の良さそうな家族写真。