人形





「涼馬くん!ねぇ、涼馬くんってば!」



 包丁についている血液の持ち主を、私はしきりに呼んだ。



「由真・・・お前がいけないんだ・・・。
お前が・・・俺じゃない男といるから・・・。

オ前ガ、悪インダ・・・!!」



「涼馬くん!
ねぇ、涼馬くん!」



 誰か呼ばないと・・・。


 このままだと・・・!!




 私は運良く携帯電話を持っていたから、急いでお父様に電話した。





「由真、大丈夫か!?」


「お、お兄様ぁ~!」



 お父様と一緒に屋上へ来たお兄様に抱きつく。



「りょう・・・涼馬くんがぁ~!」


「大丈夫だから、助かるから。
簡単に死ぬような奴じゃない。

由真の執事だろ?」


「・・・うんっ・・・・!」



「大丈夫だから。
必ず助かるから。

部屋へ行こうか、由真」






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