人形




 お兄様にお姫様抱っこされながら、私は部屋へ行く。


 
「由真ちゃん、大丈夫?」


「お、お母様・・・」



「これ、前にもらった紅茶よ。
これを飲むと、落ち着くらしいわ。

さっき淹れてきてもらったから、飲みなさい?」


「ありがとう、お母様」



 渡されたティーカップに口をつける。


 爽やかな風味で、美味しい。


 確かに、落ち着く。



「隆也さんから話は聞いたわ。
誰が涼馬くんを刺したの?」


 お母様がお兄様に尋ねると、お兄様は小さく溜息をついた。











「・・・飯田健太だ」







 そう、涼馬くんを刺した犯人は、健太だった。









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