人形




「由真、わたし、涼馬くんのこと、隆也さんに聞いてくるから。
少し待っていてくれるかしら?」


「わかった・・・」



 お母様が部屋を出て行く。






 大丈夫かな・・・涼馬くん。


 健太の身勝手な勘違いで・・・。





 私のせいかもしれない。


 また、涼馬くんの大切なもの、奪っちゃう?


 そんなの・・・嫌だよぉ。





 私は立ち上がり、廊下に出た。




 お母様は、思った通り、部屋にいた。


 ノックもせずに、入る。




「もしもし?隆也さん?
わたしですけど・・・。
涼馬くん、大丈夫かしら?

・・・ええ、そう。
わかったわ。

え?由真ちゃん?
多分・・・大丈夫だと思うわ。
今は驚きとショックで混乱していると思うけど、由真ちゃんは思っているよりしっかりしている子だから・・・大丈夫ね。

でも、行かせることにわたしは反対だわ。
由真ちゃん優しい子だから、きっとすぐに自分のこと責めちゃうもの。
行かせない方が良いわね・・・」






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