人形
コンコンコンッ
ノックするも、返事はない。
私は部屋に入った。
白い殺風景な部屋で、涼馬くんは眠っていた。
眼帯が取られていて、ずっと見えていなかった右目が見えた。
綺麗な睫毛の長い瞳に似合わない、深い斜めの切り傷。
凄く、痛々しい。
私はベッドの傍にある椅子に座り、声を殺して泣いた。
私があの日案内しなければ、涼馬くんは傷を負うこともなかったのに。
涼馬くんのご両親や叔母さんが死ぬこともなかったのに。
ごめんなさい・・・全て私が悪いんだ。
お父様もお母様もお兄様も、由真は悪くないって言ってくれたから、その言葉を信じていた。
警察の人は、由真ちゃんは小さいんだから、気にしないでと言ってくれた。
確かに、あの頃の私は小学生。
許されるかもしれない。
直接手をくだしたわけでもないし。