人形




 でも、私は思うんだ。


 私があの日案内しなければ良かったんだ、と。


 可笑しいと気が付いて、お父様とかに連絡すれば良かったんだ。


 そうしたら、涼馬くんが傷つくことも、ご両親や叔母さんが死ぬこともなく、私がこんなに悩まなくて済んだんだ。



 ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・。





「・・・本当、泣き虫ですね、あなたは」





 え?





 ふと見ると、目の前に涼馬くんの素顔が見えた。


 って、近いっ!





 何でいるの・・・?



「おや?どうされましたか?」


「どうされましたか、じゃないよ。
どうして起きているの?
眠っているってお母様言っていたよ?」


「確かに寝ましたよ?
麻酔しないで手術はさすがに嫌ですからね」



 そういうこと・・・?




 騙されたぁぁぁぁ!!??






< 192 / 208 >

この作品をシェア

pagetop