人形
睫毛の長い瞳が閉じられていて、少しキュンッとする。
・・・私、変態みたいじゃない?
私が1人で真っ赤になっているにも関わらず、涼馬くんは眠ったまま。
無防備な寝顔が、可愛い・・・。
私はそっと、ベッドに近づき、その可愛い寝顔を眺めた。
「ふふっ、可愛い・・・」
「お―――――い!!由真ぁぁ!!!!」
ほのぼのしている私の時間を消すような声が、部屋に響いた。
ちょっ!誰よ、こんな大声出すのは!
空気読めないにもほどがあるわ!
このまま声の主を放っておくと涼馬くんが起きてしまう可能性があるので、私はそっと部屋を出た。
「おぉ由真!久しぶりだなぁ!!」
扉を静かに閉めた途端、抱きつかれる。
本当、やめてほしいのに・・・。
何回もやめてと言ったけど、全く効果がないので、私は諦めて言うのをやめていた。
・・・が。
今日ばかりはやめてほしい。