人形





 不思議そうな顔をしていたけど、お兄様は腕時計を見て顔をしかめた。


 忙しいお兄様だわ。



「起きるまで由真と待つつもりだったんだけど、お兄様この後行かないといけないんだ。
折角休んでいる所を起こすわけにはいかないし・・・。

今、その執事の部屋に入っても大丈夫か?」



「大丈夫だと思うけど・・・。
何するつもり?」


「変なこと考えるなよ由真」



 変なこと?

 まぁ、何かしら?


 私、そんなこと考えませんわ。


 オホホホホ・・・。



「寝顔を覗くだけだ。
可愛い由真の執事様だからな。
見ないわけにはいかない」



 十分、変なことですわよお兄様。


 ま、変だから良いかな。



「名前はなんという?」


「涼馬くんよ。都築涼馬くん」



「・・・みや、ちく?」



「変わった名前でしょう?
そういえば漢字どう書くのかしら?」






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