人形
って、
「起きているのなら言ってよ。
お兄様に会わせたかったわよ」
「・・・申し訳ありません。
タイミングを逃したものですから」
「好きな時に出てきて良いのよ?」
「・・・好きな時、でございますか?」
「・・・そうよ?」
何故か少しだけ顔をしかめる涼馬くん。
何でだ?
「・・・かしこまりました。
以後気を付けます」
「そう・・・。なら、良いんだけど」
まぁ、良いか。
ふっと立ち上がった涼馬くんは、ズボンのポケットから懐中時計を取り出した。
「ねぇ。何で執事って懐中時計なの?」
「・・・詳しいことはわたくしも存じませんが。
わたくしの場合、これは頂いたものですから」
「貰い物なの?」
「はい。だから懐中時計を使っております」