人形




「・・・間宮、ですか」


「そうよ?」



「・・・そうですか。
ご友人は多いのでしょうか?」


「失礼なこと言うのね。
まぁ良いわよ。

友達はそんなに多くないわ。
仲良い子が1人いるから、その子だけ。
あとは私に近づかないわ」



「・・・どうしてですか?」



「私が泉の令嬢だからよ。
泉の令嬢を怒らせたら、自分の家を没落させることと同じことだもの。
だから周りの子はご両親から私に近づかないよう言われているの」



「そうですか・・・。
では、なぜ由真のご友人である方はご友人になったのでございますか?」



「その子は翠子(みどりこ)といってね。
名前は令嬢っぽいけど、ごく普通の家庭の子なの。
だから何も知らずに私に話しかけたのがきっかけよ。

翠子と初めて出会ったのが6歳の頃だから・・・。
かれこれ11年前も一緒にいるわね」



「長いお付き合いですね・・・」



「私もそう思うわ。
でも翠子みたいに私自身を見てくれる子はいないわね。
私は翠子を信頼しているわ。

翠子も泉を気にせず関わってくれるし。
凄く良い子なのよ。

今度、涼馬くんにも会せるわね
家にでも連れてくるわ」



「・・・お言葉ですが。
わたくし、隆也様から由真の送り迎えをするよう言われています。
ですから、明日にはそのご友人に会えるのでございます」




 あ、そうなの?





< 40 / 208 >

この作品をシェア

pagetop