人形
「涼馬くん?」
「おはようございます、由真」
「おはよう――――って、何よその恰好は!」
さっき廊下から声がしていたから気が付かなかったけど。
今涼馬くんが着ている制服は、泉財閥に仕える執事の着る燕尾服じゃない。
白いワイシャツに、黒いブレザー、赤いネクタイ、黒いズボン。
間違えるはずはない。
間宮学園の男子用の制服だ。
「ど、どうして!?
どうして涼馬くんが間宮学園の制服を!?」
「今朝、隆也様に呼ばれまして。
この制服を渡されました。
学校でも娘を守ってほしい、と」
あのお父様、無茶苦茶すぎるわよ・・・。
呆れて溜息をつく。
「間宮学園には駐車場があるそうなので、そこに停めてわたくしも学校へ通います」
「あ・・・そうなの?」
私には、ある1つの不安がうまれた。
大丈夫かしら・・・。