人形
「それでは参りましょうか」
「は、はい」
私は使用人たちに見送られながら、屋敷を出てリムジンに乗り込む。
「・・・ねぇ涼馬くん。
何かされたら、すぐに言いなさい?」
「何か、と申しますと?」
「どこの学校でもいると思うの。
涼馬くんの足と目をからかう人が。
もしからかわれたら、私に言いなさい?
すぐにそのからかった人たちを退学にするから」
何故か間宮学園の校長先生は私に甘い。
私が何かされたら、その人たちを退学にしてしまう。
お兄様みたいな人だ。
「由真が心配なさることはなにもございません。
わたくしは大丈夫ですから」
「・・・何があるかわからないから」
「・・・実は今まで隠してまいりましたが。
わたくし、実は
足を引きずらなくても歩けるのでございます」
はぁ?