人形





「久しぶりに会えたんだ。
仲良くしよーな、リョウ!」



 笑いながらバシバシと少し乱暴に涼馬くんの肩を叩く緑さん。


 緑さんと対照的に、涼馬くんは少し嫌そうな顔をしていた。




 多分この2人、凄く仲が良いんだな。


 2人を見ていて、そう思った。



「由真、緑の馬鹿は放って、行きましょうか」


「うん」



「え?由真ちゃん否定しねぇの?
俺がリョウに馬鹿って言われてんの」


「誰がお兄ちゃんの馬鹿を否定するのよ。
誰が見たってお兄ちゃんは馬鹿なのに」



「おい翠子!
言って良いことと悪いことがあるのも知らねぇのか!」



「あたしは知っているわよ!
知らないのはお兄ちゃんでしょう!?」



 ギャアギャア言いあう2人を背にした私と涼馬くんは職員室へ向かった。



 担任は泉の美人令嬢の私に弱く、涼馬くんが私の執事と聞いた途端、同じクラスにしてくれた。



 こんな家柄や顔で判断して良いものかと思うけど、まぁ良いか。



 困るのは先生なんだから。







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