人形




 翠子は体調を崩し、学校を休みがちになった。


 私は翠子の様子を見に行ったとき、翠子から本心を聞いた。



 もう、耐えられないから、好きだけど、ケイと別れる、と。





 私は悔しかったけど、泉の力を使い、私と翠子を孤立させた張本人を退学に追い込んだ。


 ここは、周りの誰もが羨ましがる、お金持ち高校。


 通う人は、私のようなお嬢様とか、翠子のようにある強化に対しての特待生ぐらい。


 特待生は、学費全額免除になるからね。



 張本人は、家がお金持ちだから通えていた。


 ま、お金持ちと言っても、泉の足元に及ばないぐらいの小ささ。


 簡単に買収し、没落させた。


 令嬢や御曹司は、特待生のように学費免除にならないから、家が没落し、学費が払えなくなったら、退学しか手段は残っていない。



 だから、張本人は退学した。





 本当は私自身の力で対処したかった。


 翠子を巻き込んだのは、私だから。





 でも、小さい頃から殆どを屋敷で過ごし、世間を知らない私なんかが、張本人たちに立ち向かえるはずなかった。



 凄く、悔しかったけどね。






< 58 / 208 >

この作品をシェア

pagetop