人形
「いてくれたの?今まで」
「何を仰いますか?
由真がいてほしいとわたくしに言ったのではありませんか。
それとも、お忘れですか?」
忘れてないわっ!
私はそこまでボケちゃいないよ!
そこまでじゃなくて、完全にボケてませんよ!
「ところで、お夕食はどうされますか?」
「あ、食べるー!お腹空いたもーん」
「どちらでお召し上がりになられますか?」
「動くのは起きたばかりだからなー。
部屋まで運ぶよう言ってくれる?」
「かしこまりました、由真」
綺麗なお辞儀をした涼馬くんは、シェフに言うために私の部屋を出て行った。
それまでの私との会話。
全く笑わないまま。
まるで・・・
「人形みたい・・・」