人形




「じゃあ由真、屋敷内を案内してあげなさい」


「あ、はーい」


「あぁそうだ由真。
悪いが、彼のペースにあわせてもらえないか?」



 私が彼のペースに合わせるの?


 普通逆の気がしない?






 私の疑問は、すぐに答えが出た。


 よく見れば涼馬くん、何故か体が斜めっていた。


 重心を、左足にかけている。



 ・・・もしや。



「わかったようだね由真。

彼は幼い頃の事故で右目と右足に後遺症が残ってしまっている。
だから、由真のように早く歩けない」



 だから合わせてなんて言ったんだ、お父様は。



 納得納得。




「さっきも言ったが彼は見習いの身。
我が儘な由真だから、不満もあるだろう。

だけど、彼と仲良くするんだぞ、由真。
涼馬くんは由真に仕えた方が良いと思うからな」



 地味にけなしてないか?


 まぁ我が儘とはいつもお父様に言われているから、気にしていないけど。







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