人形
いくら私が泉の令嬢だからって、テスト全教科赤点でも、補習免除はさせてもらえない。
少しだけ先生方が私たちに甘いだけ。
「そういえば由真。涼馬さんは?」
「え?あ・・・そういえば、どこにいるのだろう?」
「感心薄くない?
涼馬さん、由真の執事でしょ?
仮だとしても」
さすが我が親友、忘れないね、仮と言うのを。
「涼馬くん、よく女子に呼ばれているからねー。
告白ってやつみたい、よくわからないけど」
「告白?
さすが涼馬さん、モテるねー。
お兄ちゃんとは大違いだわ」
「緑さん?
緑さんも意外にかっこよくない?
モテると思うけど」
「そうじゃなくて。
涼馬さんって、告白しても断るタイプでしょ?
その点、お兄ちゃんは告白されたら、即オッケーだもん。
知らない相手でもね。
来るもの拒まずって感じ。
良いよねー涼馬さんは。
あたしも、涼馬さんみたいな彼氏欲しいなー」
「彼氏って・・・。
翠子、ケイいるでしょ?」
「そーだそーだ。
じゃあ、うちの馬鹿兄貴と交換してほしいなー」
翠子ってば・・・。