人形
「あ・・・紹介するね。
こちら、由真の執事さん。
今日あたしたちのクラスに転入してきたの。
都築涼馬さん」
「泉の執事?
はぁー・・・本当にいるんだな執事は。
俺初めて見たわ。
俺は柳沼慧。
翠子の彼氏な。よろしく」
「都築涼馬です」
「・・・で?
どうして執事さんは、泉じゃなくて、翠子の傍にいるんだ?」
「今ね、由真が行方不明なの。
ケイ、居場所知らない?」
「・・・泉なら、体育館裏のベンチで寝ているぜ?」
「え?
どうしてケイが知っているの?」
「さっき会ってたからな。
俺がトイレに行くからって別れたけど。
その時泉が、少しだけ寝るとかって言っていたぞ」
「体育館裏ね?
わかった、あたし行くね。
ありがとうケイ!」
ケイに手を振って、行こうとしたあたしを、後ろから誰かが呼んだ。
あのよく通る声は・・・音楽の先生!?
あたしは結局、涼馬さんに任せて、テストを受けた。
結果は、見事合格。
涼馬さんのことだ。
きっと由真を見つけ出してくれる。
聞いてみようかな?
お兄ちゃんに。
涼馬さんのことを、もっと・・・。