人形
☆由真side☆
カッとなって、思い切って走ってきた私。
体力は自信ない方だから、すぐに立ち止まる。
後ろから音は聞こえない。
聞こえるのは、吹奏楽部の楽器の音だけ。
・・・追いかけて来ないの?
一気に私は不安になった。
・・・駄目だなぁ、私。
あの屋上へ行った日から、すぐ不安になる。
涼馬くんがいたから、少しだけ変われるかなって期待していたんだけど。
無理だったかぁ・・・。
「・・・泉?」
この声は・・・。
「ケイ・・・?」
「よぉ久しぶり。元気だったか?」
「うん、まあね」
あんまり嘘をつきたくない私だけど、嘘をついた。