人形




「泉は?
確か部活とか入っていねぇよな?」


「うん、入っていないよ?
だから、ケイみたいにサボりとかじゃないから」


「休憩中だって、何度言えばわかるんだよ。

・・・ははっ、変わってねぇなぁ泉は。
高1から、何も変わってねぇじゃん」


 高1・・・ケイが私のことを好きだった時期。



「そうかもしれない・・・。
私、何も変わってないかもね」


「自覚あんだ・・・。

で?泉は何でこんな時間まで学校に残っているんだ?」



「歌のテスト、今日あったんだけど、私翠子と一緒に補習になったの。
で、放課後再テストやるから、残っていたの」



「じゃあ何でこんな所にいるんだ?
音楽室から遠いじゃねぇかよ」



「テスト、嫌になって逃げてきたの。
翠子は上手いから、テストは合格間違いなしだけど、私は不合格かもしれないから、自信がなくなって・・・」



「はぁ?翠子がテスト合格は当たり前だろ?
泉は音痴だからなぁ・・・」



 そんなハッキリ言わなくても良くないか?



「ま、音痴でも良いんじゃねぇか?
翠子には翠子の良い所があって、泉には泉の良い所があるんだからよ。
良い所があれば、わりぃ所もあるよ」



 ケイ、たまには良いこと言うじゃない!







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