人形
「泉も戻れば?」
「私は・・・少しだけ寝てから戻るね」
「寝るって・・・まあ良いや。
じゃ、伝言頼むな?」
「同じこと2回も言わなくてもわかりますよーっだ!」
ハハハッと楽しそうに笑ったケイは、グラウンドに向かって走って行った。
ああ見えてもケイって、柳沼財閥の優秀な跡取り息子なんだよね。
柳沼と泉は仲が良いから、ある意味幼馴染のような感覚。
私は、体育館裏に何故かあるベンチに横たわる。
もし、あの人がケイだったなら。
私は、
男嫌いになっていなかったかもしれないのに・・・。
まぁ今ケイは翠子の彼氏。
相思相愛している。
・・・時は戻せないのに。
何で今更、こんなこと考えているのかな・・・?
私はそのまま、意識を手放した。