人形




「泉も戻れば?」


「私は・・・少しだけ寝てから戻るね」


「寝るって・・・まあ良いや。
じゃ、伝言頼むな?」



「同じこと2回も言わなくてもわかりますよーっだ!」



 ハハハッと楽しそうに笑ったケイは、グラウンドに向かって走って行った。



 ああ見えてもケイって、柳沼財閥の優秀な跡取り息子なんだよね。


 柳沼と泉は仲が良いから、ある意味幼馴染のような感覚。





 私は、体育館裏に何故かあるベンチに横たわる。






 もし、あの人がケイだったなら。


 私は、






 男嫌いになっていなかったかもしれないのに・・・。







 まぁ今ケイは翠子の彼氏。


 相思相愛している。




 ・・・時は戻せないのに。



 何で今更、こんなこと考えているのかな・・・?






 私はそのまま、意識を手放した。






< 99 / 208 >

この作品をシェア

pagetop