初恋至難
チャラ男
「はぁぁああ」
私は信号待ちで盛大にため息をつく。
はっはっは
本当に嫌になるわ
一也=兄
うん。
一也はただのお兄ちゃん。
自分の心を無理やり納得させて一歩を踏み出す。
「あ、ちょいストップ!ハンカチ落とした!」
その声に私は振り向く。
金髪の、うちの制服を来た人がいた。
「私、ですか……?」
「うん、君」
彼はニコッとした笑顔でこちらにハンカチを差し出してきた。
でも、それは……
「私のハンカチ、じゃないですよ……?」
「え!まじで!?」
本気で驚く彼に私はちょっと笑ってしまった。
天然なのかな?
彼は本当のハンカチの持ち主にダッシュで渡してきた後に、こっちに寄ってきた。
「やーもー、恥ずいわ、ごめんな?」
「いや、大丈夫です!」
面白かったし、
「おっ、その制服ってうちの学校と同じじゃん!」
金髪の彼は歯を出して、ニッと笑った。
「俺、今日転校してきた天野翔、せっかくだから一緒に行かね?」
断る理由もなく、私はOKした。
天野くんは見た目はチャラいけど、とっても優しくて面白かった。
話しててわかったのは、天野くんが同じ1年だということ。
「もしかしたら、俺ら同じクラスかも!俺、ゆずと同じクラスがいいな!」
なんてことを軽く言うもんだから、やっぱり照れてしまう。
「そうだね、私も天野くんが一緒のクラスだったらいいな。」
天野くんといると、自然と笑がこぼれてきた。
さっきの涙なんて、なかったみたい。
「ゆずも俺の事名前で呼んでよー!」
え?
名前?
そういえば、一也以外の男子を名前で呼んだことないかも……
隣にいる天野くんは楽しみそうにニヤニヤしている。
「わかったよ。し、しょう……」
かすれそうな声で、精一杯言った。
言った途端、翔は私の頭をわしゃわしゃと触ってきた。
「あ、ちょっ、やめてよ!」
「もー、ゆずってば可愛いなぁ!!!」
そんなやりとりをしてたら、いつの間にか学校についた。
「じゃあ、後でね!」
「おう!後でゆずのクラスに行くから!」
もう、まだ決まったわけじゃないのにー…
なのにニッと笑って手をふる翔に私も笑ってしまう。
いつの間にか、一也が私に追いついて来てたことなんて知らずに。