初恋至難
「え、と、なんでいんの?」
一也の家に入ったとき、一番最初に目についたのが私の父親だった。
隣にいる一也はなんでもない顔をしてる。
茉実さんと私の父親が隣同士で椅子に腰をかけていた。
その向かい側に私と一也は腰をかける。
「ゆず、実はな、茉実さんと結婚することになったんだ」
へぇ、茉実さんと結婚するんだ。
「………え?」
「ゆず、今まで隠しててごめんね!実は結構前から大地さんと付き合ってたの!!」
と、言って父親の腕に手を絡める茉実さん。
「相当前からデキてたから否定しても無理だと思うよ?」
隣にいる一也に目線を向けると、そんなことを言った。
「か、一也は知ってたんだね」
「まあね、2人バレバレだったから、問い詰めたら教えてくれた」
「……ちなみにいつから?」
「俺が知ったのは小六の時」
随分長いな……
驚きすぎて心臓止まるかと思った。
茉実さんはお母さんみたいで大好きだし、お父さんにも幸せになってほしいけど……
「ムリ」
私がそういうと、みんなが“やっぱりな”って顔をした
「だ、だって!イキナリ言われても!!それに一也と兄妹なんて……!」
「俺は大丈夫だよ?」
一也に言葉を遮られて言われた。
「ほら、今日言ったけど、死んでもゆずには欲情しないからさ」
ニコッと一也が笑った。
それはそれで、本当に腹立つんだよね……
私だって一応年頃の女の子のわけだし、
それに、一也と兄妹なんて……
「ゆず!頼む!!俺は茉実さんを絶対に幸せにするから!」
「ゆずちゃん!!」
普段口うるさいお父さんだけど、まじめなところは信用してるし、茉実さんだって……
だから、私が言いたいのはそこじゃなくて、一也と兄妹になるっていうことで……!
「い、いいよ」
そんな大切な二人の結婚を無理やり止めるなんてことできるわけないじゃん……
目の前では二人が抱きしめあって、
横ではフューフューなんて言ってる馬鹿な幼馴染みがいる。
一也と兄妹……
私の初恋は叶えるのにどれだけ難しくなるんですか……?