私が好きなのはキミだけだから。


「めい、帰ろーぜ」


いつも通り、棗は私を家まで送ってくれた


その間も手は繋いでるし、別に変わった様子はない



でも、


「今日もありがとう」


こう言うと、いつも棗はふっと笑って頭を撫でてくれていた


でも最近は、そのままじゃあな、と言って帰ってしまう


棗を疑っているわけじゃないけど、何かあるんじゃないかって不安になる………



「棗!」


とっさに制服のジャケットの裾を掴んだ


棗は振り返って、ん?と不思議そうに私をみつめる


どうしよう………


なんで触ってくれないの?なんて、恥ずかしくて聞けるわけないし………



「………お弁当、美味しかった?」


とっさに出たのがこの言葉だった


修学旅行の前に約束したように、私は毎日棗のお弁当を作っている


「うん、美味かったけど……急にどうした?」


「いや、えっと………」


やっぱりそう聞かれちゃうよね……



この際、勇気出して聞いてみようかな



「最近……なにかあった?」


すると、一瞬棗の目が見開いた


そのまま私から視線を外して、


「何もねーよ」


そう答えた


「そっか…………」



これ以上何も聞けなくて困っていると、棗はジャケットを掴んでいる私の手を優しくほどき、


「また明日な」


と言って帰ってしまった



明らかに動揺………してたよね


私って、そんなに頼りないのかな……?



今日一日で、心の中の霧が一層濃くなった気がした




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