私が好きなのはキミだけだから。



そしてこういう日に限って、いつもは長く感じる一時間がすごく短く感じてしまうんだ



ーーーキーンコーンカーンコーンーーー



「起立、礼」


日直の号令で、4時間目が終わった




"話したいことがあるんだけど、一緒に屋上来てくれない?"


4時間目の授業中にずっと心の中で練習していた言葉


不自然すぎるとは思ったけど、何もないことを装えるほど今の私の心に余裕はない


なんてったって、一週間ぶりに棗に話しかけるんだから



一つ深呼吸をして、棗の方を向く



「なつ「上原さん」


"棗"と呼ぼうとした時、棗がいる方とは真逆の、つまり私の右側から声がした


さっきまでカチカチに緊張していた身体の力が少し抜ける



「入江くん………どうしたの?」



立っていたのは、真剣な表情をした入江くんだった


< 219 / 257 >

この作品をシェア

pagetop