私が好きなのはキミだけだから。
そしてこういう日に限って、いつもは長く感じる一時間がすごく短く感じてしまうんだ
ーーーキーンコーンカーンコーンーーー
「起立、礼」
日直の号令で、4時間目が終わった
"話したいことがあるんだけど、一緒に屋上来てくれない?"
4時間目の授業中にずっと心の中で練習していた言葉
不自然すぎるとは思ったけど、何もないことを装えるほど今の私の心に余裕はない
なんてったって、一週間ぶりに棗に話しかけるんだから
一つ深呼吸をして、棗の方を向く
「なつ「上原さん」
"棗"と呼ぼうとした時、棗がいる方とは真逆の、つまり私の右側から声がした
さっきまでカチカチに緊張していた身体の力が少し抜ける
「入江くん………どうしたの?」
立っていたのは、真剣な表情をした入江くんだった