私が好きなのはキミだけだから。



………バレてる



「それに、さっきも入江について行こうとしてるし……」


どういうつもり?


そう言う棗の顔は、怒っているのか悲しいのか分からなくて、余計に怖かった


勝手に嫉妬して、勝手に避けてるだけってことは分かってる


棗からしてみれば理由を言われずに避けられるなんて嫌に決まってる


でも、そんなこと頭では分かってても心は追いついてくれない


自分の嫌な部分を見せたくない………



「避けてなんかないよ」


嘘をついている罪悪感から、棗の目が見れなくて視線を逸らした



「それに、さっきのだってただ話があるって言われただけだし………」


「それ、俺の目見て言ってよ」



棗の目を見て……?


ゆっくりと視線をあげていくと、私の目に映ったのは苦しそうに、切なそうに私を見つめる棗だった



「なつ、め………」


「俺………なにかした?」



今にも泣きそうな顔で私を見つめながら訴える棗を見て、私の中で何かがきれた


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