私が好きなのはキミだけだから。
「………ごめん」
今まで私の顔の横についていた手が下がったのと同時に、棗は呟いた
棗の表情はわからない
なぜなら私が俯いているから
あんなこと言って棗の顔なんて……見れるわけない
勝手に私が気持ちをぶつけて、勝手にキレて
目の前が涙で滲んでいる
「…………めい」
頭上から聞こえた優しく私を呼ぶ声
どうしてこんなときまで優しいの……?
出会ったときみたいに、もっと俺様で自分勝手でいてよ……!
「顔、あげて」
その優しい声に逆らえなくて、顔を上げて棗を見つめる
私の目の前には、苦しそうに、無理に笑顔を作る棗
そして、彼は告げた
「少し………距離置こうか」