私が好きなのはキミだけだから。




それからのことはあまり覚えていない


気づいたら自分の席に座っていた

でも、隣の席に棗はいなかった


そして彼はその日、教室に戻ることはなかった



一人で家に帰り、「おかえり」という母の言葉を無視して二階の自分の部屋に直行してベッドにダイブする


しんとした空間に、私以外は誰もいない




………どうして?


そのことばかりが頭をめぐる


どうしてあんなに苦しそうな顔であんなことを言うの?



ただわかっているのは、




………私が棗を傷つけたということ




そして、私と棗の間には確かな溝ができてしまったこと




私の目からは涙が止まらなかった




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