私が好きなのはキミだけだから。
「うん……。助けてくれてありがとう、入江くん」
そう言って、助けてもらった時に抱きしめられてそのままだった距離を少し離れた
入江くんがいなかったら、私はあのまま強引に連れて行かれたかもしれない
これからは、ちゃんと自分で言い返せるようにならなきゃ………
一人心の中で決心すると、ふいに入江くんが口を開いた
「誰かと待ち合わせ?」
「うん、梨花待ってるの」
そう答えると、入江くんは「やっぱりね」と言って笑った
そう言えば、入江くんも誰かと待ち合わせてるんじゃないのかな?
するとちょうど「恭平!」と、入江くんを呼ぶ声が聞こえた
声がした方を見ると、クラスが同じで入江くん同様サッカー部の中山 凌くんだった
入江くんの「おせーよ」という文句に対して「わりーわりー」と謝る2人の間には幼馴染のような、2人だけの独特の雰囲気があって仲がいいことがわかる
「あれ、上原さんも花火大会行くの?」
ふいにこっちを見た中山くんに「うん」と答えた
すると、少し考える素振りを見せてから何かひらめいたように私を見た
「じゃあさ、花火大会一緒に行こうよ!大人数の方が楽しいし!」
その提案にいち早く反応したのは入江くんだった
「凌、お前何言ってんの?上原さんだって栗原さんと待ち合わせしてんだし、迷惑だろーが」