私が好きなのはキミだけだから。

赤くなった顔の熱を冷まそうと深呼吸をすると、栗原さんが一点を見つめたまま視線を動かさないことに気が付いた



「………上原さん？」


急にぼうっとして、どうしたんだろう？



上原さんが見つめる先を見ると………



日向と陽子が2人でそこに立っていた



日向が「めい………？」と呟いたとき、




「上原さん、行こう」



俺は上原さんの腕を引いて、あいつらがいる方とは正反対の方に歩きだした



「え、入江くん！？」


後ろから戸惑う上原さんの声が聞こえるけど、今は関係ない



………あんな辛そうな上原さん、見てられねーよ





少し歩いて、人ごみから離れたところで足を止めた



「入江くん……？」



栗原さんは不思議そうに俺の顔を覗き込んでくる



………そういえば



「ご、ごめん！その、無意識に手繋いでて………」



慌てて繋いでいた手を引っ込めた



………本当はもう少し繋いでいたかったけど