私が好きなのはキミだけだから。
少し迷うように下を向いた後、上原さんはまた俺の目を見て、口を開こうとした
その後の言葉が容易に想像できてしまう
から、俺は
「返事は今はしないで。俺の気持ちを知ったうえで、もう少しだけ頑張らせてよ」
こう言って、目の前の答えから逃げるんだ
彼女は何か言いたげな顔をしていたけど、それに気づかないふりをして、「そろそろ帰ろっか」と言って歩き出した
俺の2歩後ろを黙って歩く彼女を、陵たちとの合流場所の駅まで送って、そのまま別れた
「お前さ、上原さんとなんかあった?」
急に凌がこんなことを言いだすから、「は?」と聞き返すと、「2人の様子が変だったから」と言われた
なんかあったっつーか………
「告った」
「ふーん………って、は!?」
"なにその急展開!"と騒ぐ陵を無視して、俺も自分の家へと帰った
「まあ、勝ち目はないかもしれねーけど。やれるだけやってみるよ」
これをいうとあいつがまたどうせ騒ぐから、俺の胸にしまっておこうかな