私が好きなのはキミだけだから。
偽の恋人

朝の出迎え




カバンを取りに教室に戻ると、もうそこには誰もいなかった。



そのまま帰ろうとすると、


「俺の本性、誰にもバラすなよ?」


と棗に言われた。



「そういえば、なんで王子様演じてるの?」


ずっと気になってたことだ。

自分とは違う性格を演じるのって、疲れないのかな?




「ほんっとにお前ってばかだな」


「はぁ!?なんでそうなるのよ!」


「王子様やっといた方が、周りからの印象がいいだろ?」



あ、そういうことか。


でも……


「王子様の棗を好きな人は、本当の棗を知らないんだよ?
それって、悲しくないの?」



うわへだけの自分を好きになられても、本当の自分を受け止めてもらわなければ意味がないんじゃないかな…





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