私が好きなのはキミだけだから。
そう思うのは、私だけなの?
その言葉を言った時、棗の顔が少しゆがんだことに私は気がつかなかった。
「どーでもいいだろ、んなこと」
え、今かるーくスルーされたような…
「もー帰るぞ」
あ、そーだった。
お昼だからお腹も空いたしな
って……あれ?
「帰るぞって、まさか一緒に帰るの?」
「当たり前だろ?
俺ら、付き合ってんだからさ。
彼氏が彼女を送っていくのは普通だろ ーが」
……あ!
そうだった…。
私、こいつの彼女にさせられたんだった
「え、でも私なんか襲われないし…」
わざわざ送ってもらうのもなんか悪い気がする。
「お前……、もしかして無自覚?
まぁいいや、俺が送るっつったら送るから。とっとと行くぞ」
無自覚って…どういうこと?
とにかく、そう言って、歩き始めた棗を
意外と優しいところあるじゃん
と思いながら、早足で追いかけた。