潮にのってきた彼女
俺はいつかみたいに、ばあちゃんに言われ、庭で玉ねぎをとった。
新鮮な野菜は手にすっぽりと収まった。
重量感もあった。
玉ねぎは綺麗な球形だった。
突き出た葉を千切ってしまいたかった。
指が震えた。
左肩を砕けそうなほど強く握った。
その時だった。
「……アクア」
アクア、と思った。
ひいらぎ岬へ行ってから何日が過ぎた? 一度も。一瞬も。
アクアに会っていない。
アクア。
潮の香りのする浜辺。ろうそくの照らす洞くつ。
またろうそくを買って行かなければ。
アクア。
忘れていたはずがない。忘れていられたわけない。
ありえない。
ひいらぎ岬。アクア。
突き出た葉をむしり、皮も剥いで流し台にごろりと置いた。
朝飯ができるのを待ち、俺は納屋から自転車の鍵を取った。
新鮮な野菜は手にすっぽりと収まった。
重量感もあった。
玉ねぎは綺麗な球形だった。
突き出た葉を千切ってしまいたかった。
指が震えた。
左肩を砕けそうなほど強く握った。
その時だった。
「……アクア」
アクア、と思った。
ひいらぎ岬へ行ってから何日が過ぎた? 一度も。一瞬も。
アクアに会っていない。
アクア。
潮の香りのする浜辺。ろうそくの照らす洞くつ。
またろうそくを買って行かなければ。
アクア。
忘れていたはずがない。忘れていられたわけない。
ありえない。
ひいらぎ岬。アクア。
突き出た葉をむしり、皮も剥いで流し台にごろりと置いた。
朝飯ができるのを待ち、俺は納屋から自転車の鍵を取った。