潮にのってきた彼女
「実は、彼は彼らの世界の王家の者やったと言うんや。シェルラインという家名の――」
「シェルライン……!?」
そこまで聞いてしまえば、思い出せないはずがなかった。
アクア・シェルライン
俺が出会ったうつくしい生き物は確かにそう名乗った。
そして”国王”の話を語った。
「名前は……?」
「え?」
「ばあちゃんが会った、人魚の名前」
声を震わせて突然そんなことを尋ねた俺に、ばあちゃんは少し怪訝な声で答えた。
「名前はティート。ティート・シェルラインと言っていたが……それが、どうかしたんか?」
間違いなく、アクアの声で聞いたことのある名前だった。
若い男。新国王。先代の王のせいで破滅の一途をたどることになった国の未来を任された、不運な男。
「瞳の色は、青かった?」
「……ああ、鮮やかな、深海をうつしたような色やった」
青い目の国王。
亜麻色の髪とエメラルドのうろこ。
同じ血。
「俺が会った人魚は、アクア・シェルラインと名乗ったんだ」
ばあちゃんがどんな表情をしたか、確かめることはできなかった。
「アクア・シェルラインは、ばあちゃんが、何十年も前に出会った人魚の、孫娘なんだ」
「シェルライン……!?」
そこまで聞いてしまえば、思い出せないはずがなかった。
アクア・シェルライン
俺が出会ったうつくしい生き物は確かにそう名乗った。
そして”国王”の話を語った。
「名前は……?」
「え?」
「ばあちゃんが会った、人魚の名前」
声を震わせて突然そんなことを尋ねた俺に、ばあちゃんは少し怪訝な声で答えた。
「名前はティート。ティート・シェルラインと言っていたが……それが、どうかしたんか?」
間違いなく、アクアの声で聞いたことのある名前だった。
若い男。新国王。先代の王のせいで破滅の一途をたどることになった国の未来を任された、不運な男。
「瞳の色は、青かった?」
「……ああ、鮮やかな、深海をうつしたような色やった」
青い目の国王。
亜麻色の髪とエメラルドのうろこ。
同じ血。
「俺が会った人魚は、アクア・シェルラインと名乗ったんだ」
ばあちゃんがどんな表情をしたか、確かめることはできなかった。
「アクア・シェルラインは、ばあちゃんが、何十年も前に出会った人魚の、孫娘なんだ」