潮にのってきた彼女
――――俺は再び目を覚ました。
辺りには静けさが漂っていた。
動くものは、波と海鳥と自分だけだった。
情けないことに、あの光景を見て気を失ってしまっていたらしい。
重い体を起こし、辺りを見回す。
彼女の姿はなくなっていた。
跡形もなく消え去っていた。
俺が見た光景が、夢か幻であったかのように。
ふと、右手を不自然に握り締めていたことに気づいた。
何かが入っているようだ。
ぎこちなく指を開いていく。
手のひらにはエメラルドの光が入っていた。
うろこの欠片だった。
……夢でも、幻でも、なかった。
海の中から溺れた俺を助け出したのは。
紛れもなく、人魚。
立ち上がり、水平線に目を凝らす。
右手をしっかり握り締めた。
またあの光が見えることを願って。
俺が崖から落ちた時。
そしてここへ来た時。
列車の窓から見た、あの光を。
辺りには静けさが漂っていた。
動くものは、波と海鳥と自分だけだった。
情けないことに、あの光景を見て気を失ってしまっていたらしい。
重い体を起こし、辺りを見回す。
彼女の姿はなくなっていた。
跡形もなく消え去っていた。
俺が見た光景が、夢か幻であったかのように。
ふと、右手を不自然に握り締めていたことに気づいた。
何かが入っているようだ。
ぎこちなく指を開いていく。
手のひらにはエメラルドの光が入っていた。
うろこの欠片だった。
……夢でも、幻でも、なかった。
海の中から溺れた俺を助け出したのは。
紛れもなく、人魚。
立ち上がり、水平線に目を凝らす。
右手をしっかり握り締めた。
またあの光が見えることを願って。
俺が崖から落ちた時。
そしてここへ来た時。
列車の窓から見た、あの光を。