潮にのってきた彼女
+Ⅱ
学校の近くに住んでいる夏帆を家まで送り届けてから、俺は家路についた。
自分の意気地のなさにため息が出る。
それを振り払うように走って、普段より15分も早く家に着いた。
制服を着替え、サンダルを履いて家を飛び出す。
海へ行くためだ。
今朝と同じ、波止場のところまで走った。潮風が身を包む。悩みはさらってどこかへ飛ばしてくれる。
景色が開け、波止場へ出た。
息を整え辺りを見渡すが、それらしき影の映った海面は見つからない。
名前を呼ぼうかと口を開いた瞬間、足元の海面にプクプクと泡が浮き出した。
「……アクア……」
しゃがんで泡のところへ呟くと、アクアが顔を出した。
最初は目と鼻だけで辺りを見回し、俺だけだと知ると、口から首までをのぞかせた。
「よかったあ。来てくれて、ありがとう」
アクアは笑顔で言った。
「あの……ね、ここ、危険だって。やっぱり、人が通る場所だしって」
「えっ……じゃあ……」
「うん、だから、向こうに来て。私が寝ているところなの」
アクアはばあちゃんの家と反対の方向を指した。
自分の意気地のなさにため息が出る。
それを振り払うように走って、普段より15分も早く家に着いた。
制服を着替え、サンダルを履いて家を飛び出す。
海へ行くためだ。
今朝と同じ、波止場のところまで走った。潮風が身を包む。悩みはさらってどこかへ飛ばしてくれる。
景色が開け、波止場へ出た。
息を整え辺りを見渡すが、それらしき影の映った海面は見つからない。
名前を呼ぼうかと口を開いた瞬間、足元の海面にプクプクと泡が浮き出した。
「……アクア……」
しゃがんで泡のところへ呟くと、アクアが顔を出した。
最初は目と鼻だけで辺りを見回し、俺だけだと知ると、口から首までをのぞかせた。
「よかったあ。来てくれて、ありがとう」
アクアは笑顔で言った。
「あの……ね、ここ、危険だって。やっぱり、人が通る場所だしって」
「えっ……じゃあ……」
「うん、だから、向こうに来て。私が寝ているところなの」
アクアはばあちゃんの家と反対の方向を指した。