潮にのってきた彼女
朱色の真珠
+Ⅰ
一週間はゆっくりと確実に過ぎてゆき、ようやく待望の夏休みが訪れた。
今年は例年よりも暑い日が続いているらしい。
それでも排気ガスに包まれた都会の夏と比べれば、どれだけ清々しい季節であることか。
「しょーごーっ! 慧ーっ! 早くしろーっ」
波止場の上で、朔弥が手を振っている。
その手前を走る小さな姿。もちろん朔乃だ。朔乃の走る様子は、いつもどこか危なっかしい。
夏休み初日、俺たちはながじぃに招かれ真珠の養殖を見学に来た。
「んじゃ、ありがと。帰りは6時ぐらい」
俺のすぐ後ろで、慧がトラックのドアを閉めた。
俺たちは4人は、慧の父親に仕事のついでと言って連れて来てもらったのだ。
「朔弥たち早いなあ。さくも、もうあんなところまで」
慧は父親のトラックを見送り、のんびりと遠くの朔弥たちを見て言った。
「朔乃みたいな妹いたら、危なっかしくてとても置いてけないなあ。俺だったら」
「さくは、翔瑚が思うよりたくましい。それに、打たれ強いよ」
慧は軽く笑って、やっぱりのんびりと階段をおりて行った。
今年は例年よりも暑い日が続いているらしい。
それでも排気ガスに包まれた都会の夏と比べれば、どれだけ清々しい季節であることか。
「しょーごーっ! 慧ーっ! 早くしろーっ」
波止場の上で、朔弥が手を振っている。
その手前を走る小さな姿。もちろん朔乃だ。朔乃の走る様子は、いつもどこか危なっかしい。
夏休み初日、俺たちはながじぃに招かれ真珠の養殖を見学に来た。
「んじゃ、ありがと。帰りは6時ぐらい」
俺のすぐ後ろで、慧がトラックのドアを閉めた。
俺たちは4人は、慧の父親に仕事のついでと言って連れて来てもらったのだ。
「朔弥たち早いなあ。さくも、もうあんなところまで」
慧は父親のトラックを見送り、のんびりと遠くの朔弥たちを見て言った。
「朔乃みたいな妹いたら、危なっかしくてとても置いてけないなあ。俺だったら」
「さくは、翔瑚が思うよりたくましい。それに、打たれ強いよ」
慧は軽く笑って、やっぱりのんびりと階段をおりて行った。