潮にのってきた彼女
「……どうだった?」

「うん。仲間に、会えたわ。でもあまり、有力な情報はなかった」


と、アクアは言った。そして、お気に入りのいかりの隣に腰掛け、髪の水を絞った。俺は、その一連の作業を眺めているのが、結構好きだった。


「なんだか……とりあえず、真珠があるのはこの島で決まりみたい。もろもろの条件から考えて。だけど陸にあるものを探すことは極めて難しいから、難航中。それと……」


アクアは言いよどんで、口をつぐんだ。
髪を絞ってできた水たまりに指で触れ、洞くつの床に水で描く。文字のようなものだったが、俺には読めなかった。


「……それと、これは不確かな情報なんだけど」

「うん」


アクアの言葉を待った。


「7つ目の真珠は、どんなひとや生き物が願いをしても、叶えてくれるの」

「例えば、鳥なんかでも?」

「そう。6つの黒くなった真珠の真ん中で、1つ光り続ける7つ目の真珠に、触れることができれば。真珠は触れた者の意思を汲み取って、願いを叶えてくれる」

「うん」

「……でも、7つ目を使って、7つの真珠全てを使い切り、それらが黒くなった時、7つ目の願いをした者は、命を吸い取られてしまうんですって」

「それはつまり……」


つまり、それまでの7つの願いを叶えることと引き換えに。


「7つ真珠は、代償として、ひとつの命を奪うんだって」


アクアはすっと目を伏せた。あまりにも自然なその仕草に俺が気づいたのは、じっとアクアを見つめていたからだ。
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