夏風
優しい彼
ドーンドンドーン!
ヒューーーー、ドーーン!
今年も町で行われる大きな花火大会が始まった。
「わぁー!花火ちょーきれいだねー」
「やっぱ花火っていいよなー。」
「花火見てるとなんか癒されるよねー!」
私たち3人は幼稚園からの幼なじみで毎年3人で花火を見に行っている。
そしてこの会話も何回目になるだろう。数える気にはならないが、毎年恒例となっていた。
私は南平牛久中、通称南中の1年生
沙倉千尋。私の右隣にいるのが同じ学年の宮村柊真。そして左隣にいるのは1個上の錦杏菜。
ついでにそこにいるのが私のおばあちゃん。
「ほら、ちひろちゃん。おばあちゃんスイカ切ってきたから食べといてな」
「はーい!ってわけだからスイカ食べよ!」
「そーだな。ちひろはスイカ大好きだしな。」
柊真はいつも返事がそっけない。でもそっけないからこんなになかよくなれたのかもしれない。
あの時、私を救ってくれた人だから。