あの頃のキミはもういない
雅也saidー

ピピピピ……

今日もダルい1日が始まる。

学校に行って、ウザい先生の話聞いて。

学校なんて行く意味あるんだろうかってマジで思う。



「佐川!今日は早いな!」

絡んでくんなよ。
高校では1人でいるって決めたんだから。


そう思っていると

「……」

横目でチラッと見てみると、愛奈が悲しそうにこっちを見ていた。

「あい……」

「愛奈」って呼ぼうとしたけど、入学する前に親父に言われたことを思い出した。

ー「高校で彼女はつくるな。あと、もし愛奈ちゃんがいても関わるな」ー

そう。
俺は愛奈に関わっちゃいけないんだ。

愛奈の名前さえ呼んじゃいけない。


「大丈夫だよ!」

そうやって強がってる愛奈を見てると胸が痛くなる。

ホントは泣きたいくせに強がんなよ。

ガキの時はすぐ抱きしめて慰めてやった。

大丈夫、俺がついてるって言って。

でも今はそれさえ出来ない。

愛奈がすごく……遠くにいるような気がした。


「朝礼始めるぞー」

先生の声で我にかえる。

タイミングが良いんだか悪いんだか。
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