あの頃のキミはもういない
「っ!何すん」

「ふざけんな!」

「何すんだよ!」って言おうとしたけど、ヤンキー男の1人が叫んだから俺は怯んだ。

「どれだけあの子が悲しんでると思ってんだよ!何もねぇならあんなに悲しむわけねぇだろ!」

なんだよ……なんなんだよこいつ。

何も知らねぇくせに勝手なこと言うんじゃねぇよ。

俺だって……俺だって愛奈と喋りてぇよ。


「お前がそんななら俺はあの子を彼女(モノ)にする」

ヤンキー男は俺を強いまっすぐな目で見つめてきた。

こいつからは何の嘘も見当たらない。

こいつなら愛奈を幸せにに出来るかもしれない。

俺より……こいつのほうが……。


「ご勝手にどうぞ」

俺はヤンキー男達から逃げるようにその場を去った。


愛奈……幸せにしてもらえよ。
見た目はいかついけど根は良い奴だと思うから。

俺なんかを好きでいるより、あいつといるほうが幸せになれる。

きっと大事にしてくれる。


俺は愛奈と撮った写真を破って……宙に放った。

愛奈との思い出をすべて忘れるために。
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