あの頃のキミはもういない
秘密
愛奈said

「え!?あの後佐川君に会ったの!?」

私は昨日、帰りにヤンキー達に襲われたこと、雅也君が助けてくれたことを結衣に話した。


「……うん。ただ通りかかっただけだから勘違いすんなって……」

雅也君、私のこと忘れちゃったの……?

おかしいよ……。

また会おうねって言ってたじゃん……。

なのにどうして……。


「何それ!?調子のりすぎでしょ!」

「ホントだよね。ホント……私のことなんて……」

覚えてるわけないって言おうとした私を結衣が優しく抱きしめた。

「ゆ……結衣……?」

「私ね、もう愛奈が悲しむところ見たくないの」

「あ……」

そういえば結衣の前で泣き崩れたこともあったな。

結衣にいっぱい心配かけた……。


「だから辛いことあったら話して?それが友達でしょ?」

「ゆ……結衣……」

結衣の優しい言葉に涙が出てきた。

また結衣の前で泣いちゃった。


「じゃ、まず愛奈と佐川君の関係から聞こうか」

「う、うん」


私は小さい時に雅也君と知り合ったこと、親の仕事の都合で雅也君が引っ越したことを話した。


「なるほどねぇ。じゃあ愛奈は佐川君が好きってことだ」

「う、うん……//」

なんか、自分の気持ち改めて言われると恥ずかしいな……。


「佐川君のお家って、お金持ちだっけ?」

「へ?あぁうん、そうだよ」

「なるほど。そういうことか」

「?」

結衣がクスクスしだしたから私は首を傾げる。

どうしたんだろう……?


「愛奈!頑張ろう!」

「え、え?」

「頑張って佐川君に告白しよう!」

「えぇぇぇぇえ!?」

いきなり何を言い出すのかと思えば!
こ、ここ、告白!?

そんなの出来るわけないじゃん!!

ただでさえ相手にされてないのに……。

あ、自分で言ってたら辛くなってきた。



「大丈夫!佐川君は絶対愛奈のこと覚えてるから!」

「そんなこと……」

「大丈夫!佐川君を信じな!ね!」

「う、うん」

結衣の気迫に負けて、思わず返事をしてしまった。
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