あの頃のキミはもういない
放課後。


うぅ~重たいよぉ~。


ただいま私は重たい荷物を持って学校の廊下を歩いております。


何故そうなったかというと……

それは、今から10分前のこと。


「悪い藤谷!これ、1回の多目的教室に運んでくれないか?」

「え……」

「重たいけどよろしくな!」

「え!?いやあの、先生!?」


と、いうわけです。

はぁ~。
何で女子に頼むのよ。
普通こういう力仕事は男子に頼むもんなんじゃないの?

という文句を心の中で言ってる間に多目的教室の近くまでやって来た。

そういえば、多目的教室って誰も使ってない資料とかいっぱいあるんだよね。

盗み見しちゃおっかな(笑)


そんなことを考えていると多目的教室の中から声が聞こえてきた。

この声は……

雅也君?

こんなところで何してるんだろう。


私はそっと耳を澄ましてちみた。


「本当に私で良いの?」

「……あぁ」

一緒にいるのは……女の人?

それだけで胸がズキズキ痛む。


「でも貴方には……っ」

突然女の人の声が途切れた。

ま、まさか……

「……は、ぁ……」

!?

これで分かった。

雅也君は女の人にキスしてるんだ……。


ズキズキズキズキ……

胸が……心が、痛む。


「ま……まさ……や……」

い、嫌……聞きたくない!

そう思って逃げようとするけど、足が固まって動かない。


「俺は……お前を選んだ。それのどこが悪い」

え、選んだ……?

そういうことか。

彼女がいるから私を避けてたの……?


「雅也……んっ……」


中から聞こえてくる女の人のキスから漏れる声を聞きながら、私はその場に立ち尽くした。
もう……手に持っている資料の重さなんて、忘れてたいた。
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